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環境教育対談(後編)
2020シーズン、今治.夢スポーツとソーシャルインパクトパートナーのデロイト トーマツグループによる新たな取り組みとして、今治.夢スポーツで取り組んでいる環境教育の拡充のために環境教育冊子の作成及び今治市内小学生への配布を行います。
双方の担当者が想いを語った対談を2回にわたり紹介していきます。
今回作成する環境教育冊子の具体的な内容を教えていただけますか?
【黒澤】
今回作成する環境教育冊子は、メインパートが二部構成になっていて巻末にSDGsの紹介が入ります。
第一部はアースランドで行っている環境教育プログラムと同様に地球の歴史を振り返る内容となっていますが、環境教育プログラムと全く同じ内容になってしまったり、ただの地球の歴史の解説になってしまったりしないように伝え方を工夫しています。地球を主人公として、一人称で自分の人生、歴史を振り返りつつ、人間が地球に現れてからこんな風に地球の環境を変わったけれど、これからあなたたちはどう生きていくの?ということを問いかける内容となっています。
第二部は今の地球上の生き物の生き方を見つめる内容となっています。
人間を含めた地球のすべての生き物に、命をつなぐという行為があらかじめインプットされていると思うのですが、更にその繋がれた命が無事に生きていくことができる環境を作る習性がインプットされているのではないかというストーリーになっています。
例えばリスは秋の間に拾った木の実を土の中に埋めておき、冬になったら掘り返して食べます。とは言え、全ての場所を覚えているわけではないため、掘り返さなかった木の実からは芽が出て木が生えてきます。リスの寿命は3年ぐらいなので木の実ができる時には自分は生きていないけれど子孫が生きるための環境を作っているというようなお話がいくつかあり、最後は将来の子孫が生きる環境を残すために人間に備わっている習性は何か?ということを問いかけます。
環境教育というと何か新しい取り組みをしたり、何かを我慢したりしなければいけないという印象がありますが、「私たちに備わっているものを思い出してみようよ」というメッセージを伝えたいと思っています。
【田中】
私たちは、SDGsを子どもたちに向けて解説する巻末ページを担っています。
SDGsで示しているのは2030年までの目標なので、10歳、11歳の小学校5年生に対してSDGsについて細かいことを解説するというよりも、2030年以降の人生の方が長い子どもたちに対して、目先のことに捉われるのではなく、彼らが2030年以降の人生も自分たちが生きている、生かされている母なる地球と向き合って自ら考えて良い方向に行動していくような補助資料になればよいなと思っています。
【黒澤】
私たちの環境教育プログラムも今回作成する環境教育冊子も、子どもたちに問いかけることで、子どもたち自身が考える時間を持てるように工夫しています。
ただ、プログラムや冊子のメインパートだけを基にすると、ともすれば漠然とした問いかけになってしまいかねないのですが、デロイト トーマツさんにご協力いただいたSDGsという観点を加えることで具体性をもってこれからの地球のために何ができるかということを子どもたちが考えることができるようになると期待しています。
【田中】
SDGsのパートでも本編と同じように、例えば「海の温度が上がると何がどうなると思う?」と問いかけて、子どもたちが主役となって自らの考えを引き出して、行動につながっていくような補助材料としてまとめていければなと思っています。
この環境教育冊子はどのように活用される予定ですか?
【黒澤】
現在、今治市の教育委員会と協力して市内の小学校5年生全員が環境教育プログラムを受けているので、5年生、あるいは環境教育プログラムを受ける前の4年生またはプログラムを受けた後の6年生に配布することを想定しています。ただ今年度はコロナの影響で環境教育プログラムを実施できなかった学校が複数あるので、冬休みに入る前のタイミングで5年生に対して配布する予定となっています。
【田中】
やっぱり子どもたちにとっては現地でプログラムを体験するのが一番だとは思います。でも、プログラムを体験した時に「すごい!」という感覚は記憶に残っても、時間がたてば細かいところを忘れてしまいますし、なかなか毎日、地球について考える子どももいないでしょうから、たまに手に取った時に自分たちが暮らす地球について考えてくれる機会になるような冊子になれたら嬉しいと思います。小学校高学年で配る冊子ではありますが大人になってもずっと手元に持って、自分の子どもたちにも伝えてくれるようなことがあれば素敵ですね。そんな時にSDGsのパートを読んで、「そういえば昔こんなものがあったなぁ」と、読み直してもらえたらな、と。
本編についてはこれからもずっと変わらない地球からのメッセージとなるのではないかなと思っています。
今回、環境教育冊子を一緒に作るという新しい取り組みについてどう感じていますか?
【黒澤】
一緒に環境教育冊子を作れると決まった時に、率直にとても嬉しかったです。以前デロイトトーマツの方にアースランドをご案内した時に、「ハチドリのひとしずく」というお話を紹介しました。森が火事になり動物たちが逃げていく中で、他の動物に「何をしているんだ?」と笑われても「わたしは、わたしに出来ることをしているだけ」と言って口ばしで一滴ずつのお水を運んでは火の上に落としていくハチドリのお話です。
私は今まで自分はハチドリのような気持ちでした。地球の環境問題というとても大きな問題に対して私たちが細々と活動しても地球が大きく変わるということは考えられないけれど地道に活動を続けていました。デロイト トーマツさんが関わってくれるとなった時に、「あ、ゾウが来た!」と感じました。すごい発信力やネットワークを持っている方々が一緒にやろうと立ち上がってくれたのがとても心強くて、自分ひとりの力や今治.夢スポーツだけでは出来なかったことがこれから実現できるんだなという非常にポジティブな気持ちになりました。
【田中】
これからハチドリ黒澤と呼ぶしかないですね(笑)私自身も一担当者として本当に微々たることしか出来ていなくて、地球という大きなものにどのように対峙していくか、無力さしか感じていませんでしたが、やはり小さな子どもから大人までそれぞれが出来ることをやり、少しずつを積み重ねていくしかないと感じています。
私たちのオフィスではペットボトルのキャップを集めてリサイクルに回すという活動をしており、金額に換算したら何万個集めてもわずかなお金にしかなりませんが、こういうことの積み重ねが何かしら次の効果的なアクションに繋がっていくと信じて続けているというのが現状で、今治のプログラムに比べれば私たちがやっていることなんて小さなことと思ったりもします。
【黒澤】
やっぱり自分たちだけ、と思うとどこか心細くなったり、続けたりしてもなぁって思っちゃいますよね。
【田中】
担当者あるあるですよね(笑)とても孤独です。会社の中でもこんなことやっていて意味あるのかしらと思ったりする時もあるのですが、どこかに賛同してくれる人がいて、自分の小さな行動によってまた違う一歩を踏み出せる人がいるのではないかと信じてやっています。
デロイト トーマツ グループの社内での反応はいかがですか?
【田中】
デロイト トーマツは幸いにも良い意味で意識が高い人材がそろっていると思っています。世の中をより良くしていきたいという意識をもって入社して、自分の知見を高めて、世の中に還元していきたい、仕事を通して世の中をより良くしていきたいというのはみんなに共通しているところだと思います。特に若い世代はそういう意識が高いと感じています。しかしながら、環境問題や社会問題に関心が高くても、ボランティアやプロボノに日々の時間を費やせるかと言ったらなかなかそれは難しいという現状があります。とはいえ、6月にコロナ対策支援の募金活動を社内で行った時も一定数の方々の賛同のもと、たくさんの寄付金が集められたりもしています。
今回の環境教育冊子を今治.夢スポーツさんと共同で作るということ自体はまだ社内ではリリースしていないのですが、完成した暁には社内で共有して、社職員の子どもたちにも今治へ遊びに行くように呼びかけをしていけたらなと思います。
今は状況が状況で私自身も今治を訪問できていないので、何とも難しいところはありますが共感を得られるコンテンツの作成を目指し頑張っていきたいと思います。
今後はどのような取り組みを行っていきたいですか?
【黒澤】
やはり環境教育は今治.夢スポーツとして力を入れている事業なので、今は小学校5年生と未就学児向けのプログラムが中心になっていますが、その間を埋める1年生から4年生を対象としたものや6年生から中高生、大人を対象にしたものまで、環境教育冊子を充実させていけたらという想いがあります。
【田中】
当社は今年の2月後半辺りからリモートワークに移行していて、コロナが収束してもこの体制は続くのかもしれません。そうなると、社内の人とリアルで会う機会が非常に貴重なものになっていくので、社内の会議や研修を今治で行い、みんなで地球について考えるという機会があると良いかも。是非、大人向けのプログラムを一緒に実現したいです。
今日の対談をしてみてどうでしたか?
【田中】
冊子づくりをこんなに喜んでもらえているとは思わなかったです。意味があることだとは思っていたけれど、想定外に喜んでいただけて、黒澤さん個人がウキウキしていてくれて本当に良かったと感じています。これからもよろしくお願いします。
【黒澤】
ありがとうございます。大きな支えがまた一つできたなという感じです。こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
環境教育冊子が完成したら、皆さまにご紹介できればと思いますので、どうぞお楽しみに!