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【コラボ商品発売記念特別対談】IKEUCHI ORGANIC株式会社 阿部哲也社長
2018シーズン方針発表会で「新しいスポンサーシップの形」として矢野が紹介したIKEUCHI ORGANIC株式会社との「タオルメンテナンス事業」。この取り組みを開始した背景には、両社の企業理念/ミッションステートメントにある「地球環境に配慮した事業に取り組む」ことでした。
3月11日の開幕戦では、IKEUCHI ORGANIC株式会社が提供する「ワインのように風合いの違いを愉しむ」というコンセプト商品「コットンヌーボー」のFC今治バージョンでコラボ商品が販売された。 今回の対談では、コットンヌーボー発売記念として、今治を拠点とする会社の社長業や、理念に沿った事業の取り組みについて対談してもらいました。
IKEUCHI ORGANIC株式会社との出会い
矢野:最初の出会いについてご存知ですか?
阿部:はい。あれは、確か・・・
矢野:2014年11月7日だったと思うのですが、本当は5、6日に愛媛新聞に岡田武史氏のオーナー就任ついて取り上げてもらう予定だったですが、その前に、スポーツ新聞紙にスクープされたんですよね。
そのタイミングで、スタッフがいきなり「スポンサーについて教えて欲しいという問い合わせメールが来ているのですが・・・」と言ってきたんですよ。
メールを見てみると、「池内」と書いてあったんですよね。どこの誰なんだろう?どういう人なんだろう?って思ったのが初めての印象でしたね。
その頃は、まだFC今治の全容をお伝えしていなかったですし、正直何も決まっていなかったんですよ。翌年の2月23日に情報を発信することだけをアナウンスしていたんですよね。にも関わらず、IKEUCHI ORGANICの代表の池内計司さんから「スポンサーについて教えてください」とメッセージが来ていました。
阿部:池内得意のバクッとした内容のメールですね?w
矢野:いえいえ、でもその時は、スポンサーや広告っていうものがわかっていなくてですね、どういう風にお話すればいいのかもわかっていないなか、まさに今いるIKEUCHI ORGANICの事務所に来させて頂いたんですよ。そして、2時間半から3時間、生産しているアフリカの現場に行ったお話など色々聞かせていただきました。
阿部:池内が想いを伝える熱量は半端ないですからね。
矢野:当時は、僕たちの受け入れ態勢が整っていなくて、池内さんの想いを形にすることができなくて、大変申し訳ありませんでした。
共感を紡ぎ、形にするということとは
阿部:普通、協賛といえば、大きな企業がするようなことかもしれないですが、我々でできる協賛っていうのは、中小企業なので限界がありました。金額は、少ないかもしれないですが、もう少し「コト」に寄った協賛ができないかなーと考えていたんですよね。応援するって、いろいろなスタンスがあると思うのですが、会社として向いている方向が同じ部分を束ね、共感を紡いでいくようなことができると一番美しいなと思っているんですよね。
矢野:「共感を紡ぐ」って良い表現ですね。
阿部:いえいえ、そんなことないです。僕らとしては、そんな応援の仕方ができないかなと考えていたところ、今治で、熱い想いを共有している会社とご一緒できることは、ありがたいお話でした。
矢野:そのような想いは、当時も持って頂いていたのですが、これまで形にすることはできていなかったんですね。今回は、現場のメンバー同士が強い思い入れがあったから、前に進められたのかなと感じています。他にも同じように想って頂いている方が、今治、東予地区にいらっしゃると思います。
それを僕らがまだ、形にできていないんだろうなと、一旦お話はいただいているのに形にできていない、真のインサイトを理解していないとか時間をかけられていないなど理由はあるかと思います。代表同士が想いを持って進めることは大事ですけど、それを形にしていく人がいるっていうのが大事だなと改めて感じましたね。
阿部:その通りですね。うちも代表の池内だけの想いじゃダメで、想いを実現することができるスタッフが沢山いますね。外に向けては、IKEUCHI ORGANICのアイコンである池内が存在しているんですけど、実現するためのスペシャリストが周りにいて、実務を担っている人の顔を見せるという取り組みを目指していますね。
矢野:御社が大事にされているファンとの向き合い方なのでしょうか?
阿部:そうですね。ファンの方に支えられて、今があると思っています。ファンは作り手が何を思って作っているのか知りたいそうなんです。作り手っていうのは、裏方なので、お客様と接することってないじゃないですか。直接繋げたら一番いいんですが、作り手は手を動かしているので繋がることがなかなか難しいんですよね。
だから、ウェブ上とか記事とかで作り手の表情を明らかにするのは重要かなと思っています。そういうことができるのも、うちの売り手が理解して、どうやったらきちんと届けられるのか?何を求められているのか?を考えて発信しているからなんですね。
コットンヌーボーはどのようにして誕生したのか?
矢野:今回のコラボについてなんですが、実は2016年ごろに池内さんからお話を聞いていたことがあったんですよね。その頃の話をまさかFC今治コラボグッズとして実現できるとは思っていませんでした。コットンヌーボーはどのように始まったのですか?
阿部:原点は、「返品」からなんですよ。オーガニックコットンとは、無農薬で化学薬品を使いません。お野菜をイメージしてもらうとわかりやすいのですが、無農薬野菜って、形が不揃いじゃないですか。オーガニックコットンも同じで、風合いがどうしても毎年違うんですね。これをどうやって均質化するかというと、ブレンドしているんですよ。ブレンドは、大きな会社だと、複数の産地などで組み合わせるんですよ。この技術がすごいのが、アメリカと日本の紡績業なんですよね。
オーガニックって、トレーサビリティーが大事なので、農園は指定されるんですよね。そうすると、ブレンドの幅は年次しかないんですよ。土地のブレンドはできないんですよね。違う年次のものブレンドすることによって均質化させるんですよね。そうすると、ロットによってどうしてもばらつきがでてしまうんですよね。結果的に、実際に触ってみると、質感が違うなってわかるんですよね。
特に販売店が、こういう差に敏感なんですよね。故に返品されてしまうんです。吸水性などの品質は何の問題もないのに、違うものと感じるんですよね。デザイナーで知人の佐藤利樹とこのことについて話していたら、「食べ物のようにして楽しんでもらえばいいんじゃないか?毎年品質が違うのは不可避。だったら、ワインのように風合いの違いを愉しめばいいんじゃない?」ということから始まったんですよ。
矢野:なるほど。その頃から、「赤ちゃんでも食べられるタオル」を目指されていたんですか?
阿部:いや、まだですね。2009年に「コットンヌーボー」の構想が始まったんですが、当時、紡績がどのような工程を経て作られるか知らなかったんですよね。池内に、構想を話したんですよ。「コットンヌーボー」として、ワインのように毎年楽しむ商品でいきましょう!と。 そしたら、「バカか!」と怒られたんですよ。
矢野:え?!
阿部:全否定されたんですよね。紡績は、流れ作業なので、その年に集まったコットンだけを集めて、工程に乗せるってことは物理的にできない。できるとしたら、ロットが必要。僕らの会社が手を出せる規模じゃない。そもそも、メーカーは均質なものを出すことが使命であり、売る側の論理できれいなストーリーを作ることはしないって。
ただ、それは違うぞと。このタオルは、工業製品ですけど、農産物でもあるんですよね。そんな農産物に均質性を求めてはいけない。例えば野菜に、均質性を持たせるには、遺伝子操作させなければいけないし、化学薬品を使わないと、クローンのように同じものを作れなくなる。これをやっちゃうと、土壌はどうなるんだ?水は?資源は?となる。
均質化を是とすることは、ダメじゃないか?と考えたんですよね。これを真正面から発信すると反発を受けるので、「毎年違う味のワインを楽しむようなタオル」というコンセプトで、農産物由来なんだと気づきを持ってもらえることを狙いました。池内が言う、メーカーとしての責務は理解しています。ただ、根底にあるのは均質性に対するアンチテーゼなので、理解してもらうことは難しかったですよね。
阿部:そんな時、当時取引のなかったタンザニアのほうから、取引したいと声がかかったんですよ。池内がダメ元で「その年に採れたコットンで作ってもらえるなら、取引しましょう」と持ちかけたんですよね。
矢野:池内さんも気になっていたんですね?
阿部:どっかひっかかってたんでしょうね・・・「やるよ!」と言ってくれたので、そこからドドっとコットンヌーボープロジェクトが進みました。
矢野:コットンヌーボーの始まりはいつからだったんですか?
阿部:2011年ですね。
矢野:2011年から始められて、8年経過しているんですね。
阿部:そうですね。そこから、毎年コットンヌーボーのサイクルができまして、大体9月末に収穫を終えて、糸になるのが10月末。そして、11月末にタンザニアを出て、年内に今治港に到着します。そして1月〜2月に発売するという流れですね。
矢野:そうなんですね。ところで「ヌーボー」ってどう言う意味なんですか?ボジョレーは地名ですよね。
阿部:フランス語で「ヌーボー」「ヌーベル」ということなんですが、「新しい」という意味です。実はアメリカには「ボジョレーヌーボー」ってないんですよ。日本には、秋に楽しむっていう習慣がありますが、アメリカで「コットンヌーボー」って言ってもピンとこないみたいですね。
これからについて
矢野:つい最近、新しく入ったコーチに言われたのですが、ニュースなどで見るほど盛り上がってないじゃないか!と。そういう指摘を受けて、一生懸命街を青にしようとしたんですね。やはり、始めはバックグラウンドが違うメンバーが集まってくるのですが、時間の経過とともに、視野が狭くなってしまっているんですよね。
多様性の維持、新しい血を入れ続けるって大事だなと痛感しているところでした。
阿部:色々な眼がなくちゃいけないですよね。FC今治は、今治をホームにしつつ、ワールドワイドに活動の場を広げていくわけですよね?我々も、理念をもとにワールドワイドを目指していくつもりなんですよね。だから、色々な人が入ってくると思うんですよね。
矢野:同感ですね。幸いにもサッカーの場合、上を目指せば、世界と近づいていくんですよね。そういう意味では、そんな思いを抱き続けたいと思っています。
阿部:やはり、FC今治がそうやって活躍してくれると、僕らもがんばらなくちゃいけないじゃん!って思うので、刺激してもらう形がいいですよね。
矢野:我々も、サッカーに限らず業種が違うスポンサーの皆様との交流を通して、刺激し合えたらと思いました。
阿部:そうですね。これからも、どんどん取り組んでいきましょう!
IKEUCHI ORGANICwebサイトでのご購入はこちら オーガニックコットンは非常に繊細で、収穫量も不安定。
原材料としては扱いにくく年ごとに品質も異なるため、"均一で当たり前"と思われがちな綿製品には向いていませんでした。
そのため、「風合いが違う」などクレームや返品に繋がることも。2011年に開始したコットンヌーボーの取り組みは、今までデメリットと考えられてきた品質の違いを個性と考え商品価値にしてしまうという発想の転換からはじまりました。新たなタオルの魅力を掘り起こすという、まだ世界中のどこにもない取り組みが評判となり、今では毎年買い求めるコレクターもいるほど。
2015年にはグッドデザイン賞受賞、2017年にはフジテレビ「有吉くんの正直さんぽ」テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」で取り上げられている人気商品です。そんな人気商品を2018年は、FC今治カラーの群青色で生産いただきました!ぜひ、皆様、こちらを手に取っていただき、味わってみてください。
本対談で取り上げている、コットンヌーボーについて、FC今治 ECサイトとIKEUCHI ORGANIC ECサイトで販売しています。
阿部 哲也
IKEUCHI ORGANIC株式会社 代表取締役社長
1991年慶應義塾大学卒。同年大和證券株式会社入社
2000年 小売チェーン店へ転職。販売促進、新業態開発、
基幹システム導入に携わり管理部門取締役を経て退職。
2009年よりIKEUCHI ORGANIC株式会社に入社、
2016年6月より現職
矢野 将文
株式会社今治.夢スポーツ 代表取締役社長
愛媛県愛南町生まれ。
2000年東大大学院工学系研究科を修了し、ゴールドマン・サックス証券入社。
14年11月に今治.夢スポーツ入社。
16年4月から現職。